2007年7月27日

今、田んぼで、生きものたちがよみがえる

各地の耕さない冬・水・田んぼは、5月の田植えを終えて、稲がすくすくと育っています。6月から7月にかけては、田んぼの草取りで、農家の皆さんは大変な労働を毎日繰り返しましたが、ここにきて、ようやく一段落といったところです。

 冬も水を張ったり、米ぬかをまいたり、あるいは、発酵させた乾燥おからをまいたりと、草対策がいろいろ試されてきました。かなり効果を現してきた方法も出てきましたが、最後は、やはり手除草に頼るのです。

 メダカのがっこうも、あちこちに草取り部隊を派遣し、応援して来ました。少しはお役に立てたかな、といったところです。が、実際の草取り効果より、都会から田んぼへ出かけたという行為そのものが、農家を励まし、勇気付けることになるのです。

 田んぼに出かけて、現地で見つけた生きものたちの生きざまを、写真に写した何枚かをご紹介しましょう。

 これは、佐渡の山本雅春さんの田んぼで見つけた、交尾中のシュレーゲルアオガエルのつがいです。まるでお母さんの背中におんぶされた子供のようですが、れっきとした男のカエルです。

 山本さんの田んぼは、山間に囲まれたいかにも佐渡らしい地形で、いろいろな団体の調査対象になっています。人の優しい山本さんは、調査が終わらないから、水を落とせないとか、調査優先で、お米づくりが二の次になりがちでした。

 が、本末転倒ですよといって、ようやくここにきて、お米づくりを優先するようになりました。今年は、美味しいお米が充分収穫できるのではと、期待が膨らんでいます。

2007年6月19日

栃木県大田原市の水口さんちへ出かけて

田んぼの草取りのシーズンです。田植えを終えて、1ヶ月間が苗にとってとても大切なときなのです。子育てと同じで、幼い時期は、稲がちゃんと育つように、親(稲の場合は、人)が手を貸して上げることが大切なのです。

 植えた苗より、草の生長が速いのです。ですから、ほっておくと苗が草に負けてしまうのです。この時期に草の芽を摘んでしまえば、後は苗が育ち、その後に草が出てきても、負けないのです。

 メダカのがっこうは、田植えを終えた自然耕農家の田んぼへ出かけて、順繰りに田んぼの草とりを手伝います。そのためのツアーを募集して、出かけるのです。

 6月9日、栃木県大田原市の水口農場へ、12名の草取り部隊が出かけました。あいにくの雨模様でしたが、田植えを終えた水口さんの田んぼは、苗がいきいきと気持ちよさそうに伸び始めていました。

 さっそく長靴に履き替えて田んぼに入りましたが、あまり目立った草がありません。土ができると、草が生えなくなるのです。イトミミズがたくさん発生すると、糞をして土の表面にトロトロ層をつくります。そこは無酸素状態なので、そこに草の種があっても発芽できないのです。

 がっかりしている私たちを見て、水口さんは「じゃぁ、別の田んぼへ行きましょう。草がたくさん生えている田んぼもあるから」と、自宅から離れた田んぼへ案内してくれました。

 そこは、冬・水・田んぼにして日が浅いため、けっこうコナギが芽を出していました。草取りを始めて30分もたつと雨が降ってきて、やむなく中止です。でも、草取りをやった、という実感をようやく味わえました。

 水口さんは、田んぼの草取りよりも、私たちに見せたいものがあったのです。自宅近くの休耕田と用水路を利用して、みごとな小川と水辺をつくったのです(写真)。小川には、メダカやドジョウを放ち、水田にはマコモを植えました。カエルが繁殖し、マコモもいきいきと育っています。ヘビが泳いでいたり、アカガエルの赤ちゃんをトウキョウダルマがぱくついたりと、生きものたちの生を横臥する様子が身近に見られました。

 「都会の子供たちにぜひ見てもらいたい」と、案内してくれた水口さんは、まるで少年のように目を輝かせていました。ぜひ、皆さん行ってみてください。

2007年5月23日

田植えを終えて、ここからは草対策

私たちメダカのがっこうが応援する、自然耕農家の田んぼ、もてぎの体験学習用棚田など、大半の田んぼで田植え作業を終えました。

 3月から4月にかけて、異常に温かかったり寒かったりと、天候異変の影響もあったようですが、プロの作った苗はさすがしっかりして、見事な姿を見せていました。

 もてぎの田植えイベントに参加した70歳代のおばあちゃんは、「私は若い頃、田植えの経験がありますが、その頃の苗とはとても比べ物にならないほど、しっかりした苗ですね」と、しきりに感心していました。

 3月に来たときは、まだ卵塊だったヤマアカガエルは、大きなおたまじゃくしになっており、田植えする足元を泳ぎまくっていました。もうすぐ足が出て、カエルになる日も近づいています。

 苗が田んぼの土に根を張り、ぐんぐん育っていくのですが、ここからは草対策が大変重要になってきます。苗の生育より草の生長が速いので、この1ヶ月は出てきた草の芽を摘む必要があるのです。

 苗が育ってしまえば、その後に草が出てきても苗の陰になってあまり伸びることができず、影響はさほどありません。苗が育つまでは、草を取り、面倒を見てあげなければならないのです。子育てと同じですね。

 メダカのがっこうでは、今年、はじめて田植え直後に乾燥おから撒きをやりました(写真)。このおからは、発酵させた後、乾燥させたもので、生のおからのような匂いもなく、効き目が2〜3倍長く持続するというのです。

 滋賀県の柴田さんたちが開発したもので、2,3年実験し、効果を確認しています。さらに、生きものに対して影響がないことも確認されているので、今年、初のトライをしました。

 10アール当たり50kgの量を目安にまいてみました。もてぎの棚田は、コナギなど草がびっしり出る田んぼです。さて、結果はどうなるか、効力やいかに、1ヵ月後、ご報告します。

2007年5月11日

田んぼの季節が始まりました

いよいよ田んぼの季節です。4月の終わり頃から、千葉県佐原方面では田植えが始まり、ゴールデンウイークをピークに、農家の田植えはほぼ終わりました。

 メダカのがっこうの田植えイベントも、5月5日、千葉県香取市の椿さんの田んぼで、華やかに行われました。小さな子供たち約20人、大人が50人ほど、2組に分かれて、いっせいに田んぼに入ったのです。

 1本の綱に、30センチ幅に目印のビーズをつけ、ピーンと張り、そこに2〜3本づつ手に取った苗を植えていくのです。1本の綱に大人、子供合わせて30人ほど横一列に並びます。

 「はーい、始めてください!」との合図に合わせ、苗を田んぼに指していきます。はじめは、なかなかうまくいきません。

 「あー、それは5〜6本あるよ。その半分でね。線のそば、だめだめ、離れすぎてるよ。ビーズのところに植えてね。あっ、それは深すぎる、苗がもぐっちゃうよ、、、」こんな調子で、なかなか進みません。

 しかし、2度、3度と植えていくにつれ、だんだん慣れていきます。「おー、うまい、その調子。じょうずになったね」ほめられる人が増えていきます。

 「いやー、ボクはうまいねー。大人顔負けの手つきだよ」と、そばでお母さんが「この子は、田んぼに入るのは8回目だからね」どうりでお上手でした。

 こうして、1時間強をかけて1反歩の田んぼの田植えは無事終了しました。「イヤー、楽しかったけど、限界ですよ、これ以上はムリね。でも、楽しかったわ」と、お母さんの実感でした。

 この後に、美味しいおむすびとトン汁が待っていてくれました。手と足を洗って、近くの公民館で、お昼です。テーブルの上には、おむすび、トン汁の他に、農家さん手作りの筍、おしんこ、海草を寒天で固めた惣菜と、盛りだくさん。

「いただきまーす」といっせいにパクつき開始。おむすびは、もちろん椿さんのお米。働いた後で、その美味しさはまた格別。2個、3個とほう張り、トン汁もお代わり続出。

 満腹、満足、食後は椿さんの田んぼと稲のお話を聞いて、大満足の一日でした。

 「これから、植えた苗はすくすくと成長していきますが、草も出てきます。苗が小さいうちは、草を取ってやらないと負けてしまいます。子育てと同じで、小さいときは面倒見てやる必要があるんですよ。6月には草取りツアーをやりますので、参加してください」という、メダカのがっこうからの呼びかけで、解散となりました。

2007年4月18日

大好評!渋谷東急デパ地下のおむすび茶屋

今回は、田んぼからではなく、渋谷東急デパート地下の食品売り場・フードショウ館からのレポートです。

 四季旬菜館が連携している「おむすび茶屋 メダカのがっこう」が、4月12日〜25日までの期間限定で、お店を出したのです。

 生きものいっぱいの、耕さない冬・水・田んぼと、そこから穫れる自然耕米のPRの一環です。どんな反響だと思いますか?

 これが、すごい!反響です。最初はどのくらいのお客さんが来て買ってくれるか、手探り状態で始めました。

 炊き出したお米をブースの中で、10日間特訓した若いにぎり手が、3〜4人交代でにぎっては並べました。

 現場でにぎっているのが珍しいこやと、生きものがいる田んぼの写真が目を引いたのか、初日は、結構買ってくれるお客さんがあって、ほっとしていました。

 ところが、2日目の朝、いきなり行列ができ始めました。「このお米は冬も水を張るので、生きものがたくさん湧くのです。おいしいですよ」と、説明しようとすると、「いや、昨日聞いて、買ったらとても美味しかったのでまた来たんですよ」と、お客さん。

 3,4歳の坊やを連れたお母さんは「食の細いこの子が、このおむすびをひとつペロっと食べちゃったんですよ。うれしくなって、また来ました」と、3つ、4つと買ってくださいました。

 さあ大変、並べ終わらないうちに、なくなってしまう。神田神保町のお店でつくって、運んでもらう、それでも届かないうちに、品切れ状態が続く。

 「いやー、美味しいね。この塩むすびが、一番お米の味が分かって、おいしい。おかずがいらないお米だね」

 「有名な新潟のお米を食べてきましたが、とんでもなく美味しい。横浜のお母さんに送りたいので、お米を売ってくれますか」

 連日の賑わいが続きます。明らかにリピーターが増えています。私たちはこの自然耕米の美味しさが当たり前になっていますが、渋谷のお客さんたちは、オーバーに言えば、パニック状態になっています。

 生きものいっぱいの田んぼで穫れるこのお米が、本当に美味しい、お米本来の味わいが蘇る、そんな実感を持ったのではないでしょうか。

 「25日で終わりなんですか」というお客さんには、神田神保町のお店をご案内して、納得してもらっています。

 14日(土)売り場に立った椿さんご夫妻(写真)も「うちのお米がこんなに美味しい、おいしいって皆さんに買ってもらえるなんて、ホントにうれしい」と、すごく喜んでいました。

 冬・水・田んぼと自然耕米のデパ地下デビューは、大成功、まだ知らない都会人に、大いにアピールしました。25日までやっています。いちど、のぞいてみてください。

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